(1)良い志望動機とは採用担当者が「ぜひ面接で会ってみたい」と思うもの
良い志望動機とは、採用担当者にあなたという人物の魅力を伝え、面接でぜひ会ってみたいと思わせる志望動機です。ですから、志望動機は、あなたを採用すべき理由や採用に値する人物像であることが分かりやすく語られている必要があります。
(2)良い志望動機の文章表現
良い志望動機に使われる文章表現は、ダメな志望動機で解説した表現方法と対極になる表現方法です。まずは悪い表現方法を知り、徹底排除することが第一歩です。その上で、以下のような姿勢で志望動機を書きましょう。
ア.主体性のある(⇔受け身的な)
主体性というとイメージしづらいかもしれませんが、受け身の反対と考えれば理解しやすいと思います。自主性や積極性とも共通する部分です。「教えてもらう」と「学ぶ」は同様に勉強することを意味しますが、前者は受身的なイメージなのに対し、後者は自分から勉強するというイメージとなり、受け取る印象がまったく違います。
イ.具体的な(⇔抽象的な)
下記の志望動機の例は、「理念に深く共感した」という内容を、自分のエピソードをまじえて具体的に表現しています。志望先の理念を応募者なりの視点で捉え、実体験として語ることで応募者の人間像がイメージしやすくなりました。
私が貴院を志望した理由は、貴院の理念である「患者様の立場に立った医療の提供」という点に深く共感したからです。
また、貴院は教育・研修体制が充実していることにも魅力に感じました。
研修や先輩看護師から看護師として必要なスキルや心構えを教えていただき、早く一人前に看護師になれるよう努力していきたいと思います。
【良い志望動機例】
私は気配りができる人間だと思っています。看護師としての前に、人として気配りができることは、貴院の掲げる「患者様の立場に立った医療の提供」を実践する上で大切な要素と考えています。私は看護実習中、患者様から発せられる言葉からだけでなく、家族様から見聞きしたこと、患者様の病態や心境から患者様やご家族が必要としていることを自分なりに考え、先回りし行動することを心がけてきました。今後もこの心がけを大切にしながら看護師として必要なスキルを身につけることで、貴院に貢献できる看護師を目指したいと思い、志望させていただきました。
ウ.組織にとって価値のある(⇔自己中心的な)
採用担当者が求めるのは、組織にとって有益な人材です。履歴書の項目の中で唯一、自由な記述が認められている志望動機では、悪意はないにせよ自分のことしか書いてない、自分のことにしか興味がないといった内容を語ってしまうのは非常にもったいないことです。
エ.謙虚な(⇔傲慢な)
採用担当者が求めている人材を誤解を恐れずに表現するならば、いわゆる「仕事ができる人」です。仕事ができる人は、自分は仕事ができるとは表現しません。謙虚な表現の中に、「仕事ができるそう」「熱意を持っていそう」と採用担当者が思えてしまう要素を盛り込むのです。
イ.で紹介した良い志望動機の例では、患者様の立場に立ち、ひたむきに仕事に取り組む応募者の人間像が見えてくるのではないでしょうか。
(3)良い志望動機は着眼点が良い
次の志望動機を見てください。
貴院のホームページに患者様の満足度調査が掲載されていました。患者様にどのように受け取られているかという客観的な判断を、今後提供する医療やケアの質の向上につなげていらっしゃるのだと思います。私も自分自身を客観視する機会をとても大切にしています。看護師として働く中で、患者様から見た私、チーム内での私など、他者の視点で自分を省みることが大切だと思っています。自分を客観的に見つめ、行動を改善していくことが自分の成長への近道だと私は考えています。
私の普段の心がけが貴院の取り組みにも活かせるのではないかと考えております。
この志望動機は「患者様の視点に立った看護を行いたい。だから貴院を志望した」といった動機としてはよくあるものだと思います。しかし、志望動機として語られているのは「客観視することの大切さ」です。
志望先の病院に患者様の満足度調査を見つけ、それと自分が普段から大切にしている「客観視=他者からの視点」をうまく関連づけて語っています。応募者との接点を感じると、採用担当者としてもまだ会ったこともないのに妙な親近感を持つこともあります。
このように独自の着眼点を持ち、自分と志望先との接点を語るような志望動機は、採用担当者の目を引きます。